手洗いと洗濯機のウールコース、どちらを選ぶか
ほとんどのウールセーターは手洗いでき、洗濯機の設定が正しければウールや手洗いコースでも問題ありません。差はそれほど大きくありません。大事なのは温度と摩擦。この二つを低く抑えれば、どちらの方法でもセーターは無事です。
手洗いはコントロールが一番しやすい方法です。洗面器に冷水を張り、ウール専用の洗剤、またはpHが中性で酵素を含まないやさしい洗剤を少量溶かします(The Woolmark Company, How to Wash a Wool Sweater)。セーターを沈め、一、二分やさしく動かしてから、十分を超えないように浸けておきます。ウール繊維は水を含んで膨らみ、長く浸すと弱くなります。水を換えて冷水ですすぎ、泡が完全に消えるまで繰り返してください。絶対にねじって絞ってはいけません。両手で平らに押して水を切るか、乾いたタオルにセーターを包んで巻き、押すようにして吸わせます。
洗濯機を使う場合は、まず洗濯ネットに入れましょう。ウールまたは手洗いコース、冷水、最も弱い脱水設定を選びます(Unbound Merino, Merino Wool Care Guide)。洗剤はウール専用の液体タイプを。粉末洗剤はニットの繊維の中に残りやすいです。柔軟剤は避けましょう。繊維をコーティングするうちに、時間とともに質感が鈍くなります。
どちらの方法にも共通するルールが一つあります。新しいセーターの最初の洗いは必ず手洗いで行うこと。最初の洗いで繊維が本来の形に落ち着いたあと、洗濯機に任せられるかどうかを見極められるようになります。
濡れた状態での形の整え方と平干し
ここが一番傷みやすい工程です。濡れたウールセーターには、ほとんど構造的な強度がありません。繊維が膨らんでゆるんでいるため、重力がすぐに影響してきます。
洗ったらすぐに、清潔で乾いたタオルの上に平らに置きます。まだ濡れているうちに、身頃、袖、裾を元の形に戻すようにやさしく整えます。この状態のウールは思ったより素直に動きます。肩をきちんと揃え、裾を均一にし、袖丈を本来の長さに戻す時間があります。半乾きになってからではなく、水がしたたる状態でやるのがポイントです(EILEEN FISHER, Hand Wash Sweater Guide)。
タオルにセーターを包んでくるくると巻き、やさしく押して水を吸わせます。広げたら、新しい乾いたタオルか平置きの乾燥ネットの上に移し、完全に乾くまでそのまま置いておきます。セーターの厚みや湿度にもよりますが、12〜24時間ほどかかります。ヒーターのそば、直射日光の当たる場所、乾燥機は禁物です。直接的な熱がウール繊維をフェルト化させます。意図せずフェルト生地が出来上がるのと同じ仕組みです。
濡れたウールセーターをハンガーにかけてはいけません。湿った状態で数時間かけておくだけで、肩と裾が永久に伸びてしまいます。乾燥を早めたい場合は、平置きのセーターに扇風機の風を当てるのは問題ありません。問題は熱であって、空気の流れではないからです。
毛玉、なぜできるのか、どう取るか
毛玉があるからといってセーターが悪いわけではありません。短いまたは緩んだ繊維が生地の表面に出てきて、着ているときの摩擦で丸く絡まったものです。ウールやメリノのセーターは最初の数か月、必ずある程度の毛玉が出ます。できやすい場所も決まっています。わきの下、バッグのストラップが当たる脇のライン、袖口、裾など、摩擦が多いところです(Patagonia, How to Remove Pilling from Clothes)。
ちなみに、毛玉は自然に収まっていきます。短い緩んだ繊維がひととおり表面に出て取り除かれれば、新しい毛玉の出る速度は落ちます。十月にひどく毛玉が出ていたセーターも、十二月には月に一、二度の手入れで落ち着くことが多いです。
使いやすい道具は二つ:
- セーターコーム。 細かく密な歯のついた小さなコームです。カシミアコームとも呼ばれますが、どんなニットにも使えます。セーターを平らに置き、片手で生地をぴんと張り、もう一方の手で一方向に短いストロークで軽くなでると、毛玉がコームの歯に集まります。二つの道具のうち繊維に優しいほうで、生地を傷つけるリスクがありません。
- 電動毛玉とり器。 保護グリルの内側に回転刃を持つ、電池式またはAC電源のデバイスです。表面を軽く滑らせると、毛玉をそぎ落とします。コームより速いですが、強く押しすぎるとニットに穴があくことがあります。セーターを必ず平らに置き、生地をぴんとさせた状態で、設定がある場合は最も遅い速度を選んで使います(Gentleman's Gazette, Best Ways to Remove Pilling from Sweaters)。
布用軽石(ファブリックピューミス)はデニムや厚い織物には効果的なものもありますが、ウールやメリノのニットには荒すぎて、糸を引っかけたり切ってしまうことがあります。コームか毛玉とり器に限定するのが安全です。
シダー、畳み方、シーズンオフの保管
ウールはケラチンタンパク質でできた繊維です。爪や髪の毛と同じ成分です。衣類蛾はケラチンに引き寄せられますが、正確には着た衣類に蓄積した皮脂、汗、食べ物の残り香を追ってきます。セーター自体がその痕跡を運ぶ器になっているわけです。防虫剤をかけるより、保管前に洗うことが最も大切な防虫対策です(Moth Prevention, How to Store Wool Sweaters)。
シダーウッドは蛾を遠ざける芳香オイルを放ちます。シダーブロックやシダーボールを保管ニットの近くに置くのが最もよく推奨される方法で、効果があって香りもよく、ナフタリンやパラジクロロベンゼンを含む防虫剤よりも繊維にずっとやさしいです。防虫剤の匂いは取り除くのが本当に大変ですから。シダーの注意点は、オイルが揮発することです。数か月に一度、シダーブロックの表面を軽くサンドペーパーで削るか、シダーボールを取り替えて香りを保ちましょう(Hayden Hill, How to Store Wool Sweaters)。
シダーはセーターに直接触れさせないでください。オイルが繊維に移り、薄い色のセーターにシミがつくことがあります。引き出しの角に置くか、小さな布袋に入れて使いましょう。
ハンガーにかけず、畳んで保管してください。シーズンオフの間ずっとウールセーターをハンガーにかけておくと、肩の縫い目と裾が永久に伸びてしまいます。脇の縫い目に沿って畳み、袖を胸の上に整えてから、引き出しか通気性のある布製の収納袋に平らに重ねてしまいます。完全密閉のビニール袋は湿気を閉じ込め、カビの原因になりやすいです。数週間以上しまうなら、通気性のある素材を選びましょう。
シーズンのケアリズム
きちんとケアしたウールセーターと過ごす一年は、だいたいこんな流れになります:
- シーズン序盤、1〜2か月目。 4〜5回着たら手洗い、汚れが目立てばもっと早めに。2〜3回着るごとにコームか毛玉とりで処理。この時期が毛玉の最盛期です。着ない日はハンガーではなく平置きで。
- シーズン中盤以降。 毛玉が落ち着いてきます。洗いの頻度も下げられます。1〜2週間に一度、毛玉とりをかけるくらいで充分なことが多いです。
- シーズンオフ。 保管前に必ず洗ってください。完全に平干しして乾いてから畳みます。引き出しか通気性のある袋にしまい、シダーは近くに置きますが直接触れないように。月に一度、蛾の痕がないか確認します。
- 翌シーズン。 きれいな状態でしまったセーターは、取り出して数時間干せばすぐ着られます。
一シーズンを通じて実際にかかる時間は合計四十分ほど。その四十分で、手ごろな価格帯のウールセーターが五シーズン以上きちんとした姿を保ちます。
Sources
- How to Wash a Wool Sweater, The Woolmark Company — 冷水使用、洗剤選び、浸け時間
- Merino Wool Care Guide, Unbound Merino — 洗濯機ウールコースの設定、洗濯ネット使用
- Hand Wash Sweater Guide, EILEEN FISHER — 濡れた状態での整形、平干し
- How to Remove Pilling from Clothes, Patagonia — 毛玉の原因と道具
- Best Ways to Remove Pilling from Sweaters, Gentleman's Gazette — 毛玉とり器の使い方、道具比較
- How to Store Wool Sweaters, Moth Prevention — 保管前の洗い、シダー使用
- How to Store Wool Sweaters, Hayden Hill — シダーのメンテナンス、通気性収納







